日本の伝統工芸の魅力を世界に届けたい──31歳EC創業者の挑戦

日本の伝統工芸の魅力を世界に届けたい──31歳EC創業者の挑戦

伝統工芸品の魅力、海外に伝えられないもどかしさ


京都の老舗旅館。
木の香りがかすかに漂う合宿型の経営者勉強会で、辻ケンヤ(31)は輪の少し外に立っていた。

――彼の隣にいた若手経営者が、英語でスムーズに自己紹介を終えたときだった。

「……自分も、そろそろ話さないと」
だが、いざ口を開いた瞬間、頭が真っ白になった。

単語は覚えていた。けれど、言葉がつながらない。

「Sorry… I’m… ah…」

焦りで口が回らず、途中で止まった英語に、場の空気がわずかに動く。
誰かが優しくフォローしてくれたが、ケンヤにはそれが「敗北」に感じられた。

「言葉にできなかったことで、伝統が伝わらなかった気がした。」

ECサイトを通じて、日本の工芸品を海外に届ける仕事をしている。
職人の技、素材へのこだわり、込められた想い――

日本語なら何時間でも語れるのに、英語になると口がすべってしまう。

思い返せば、語彙を増やそうと「単語500個覚える」と決めたのは去年。
だが30語を過ぎたあたりで、紙の上の暗記に心が折れた。

「自分が伝えなくて、誰が伝えるんだよ。」
その気持ちだけが募っていた。


海外との距離を縮めてくれたMOTERU初回ミッション


初回ミッションの画面に現れたのは、落ち着いた表情のキャスト。
笑顔の奥に、どこか“聞く姿勢”を感じさせる、金髪の女性だった。

彼女が最初に口にしたのは、こんな問いだった。

「What would you want people overseas to feel when they see your crafts?」
(あなたの工芸品を見た海外の人に、どんな気持ちになってほしい?)

プレゼン用に用意していた文章は、すぐに頭から消えた。
代わりに浮かんだのは、いつも工房で見てきた“職人の手元”だった。

「日本の静けさとか、空気感みたいなものを感じてほしくて…」
拙い言葉ながら、辻はそう答えた。

彼女は笑って、こう言った。
「Then let’s start with that. You’re already saying something beautiful.」
(それでいいの。もう十分に“美しいこと”を言えてるよ)

その日のフレーズは、シンプルな一言だった。

“This craft tells a story.”
(この作品には、物語があります)

海外の女性と直接話す緊張感もあり、10分間がとても充実していた。
仕事の理解度も深まり、恋愛英会話の切り口から様々な可能性を感じていた。


工芸品の想いを、英語で届けられた瞬間


数週間後、京都の老舗旅館を貸し切って行われた、経営者合宿。

日本文化に興味を持つ外資系パートナーも参加し、
辻にとっては“自社の工芸品”と“自分の英語”を試す場だった。

囲炉裏を囲んだディスカッションで、
シンガポールから来た女性役員が辻に尋ねた。

「What makes Japanese crafts so… emotional?」
(どうして日本の工芸品って、こんなに心に響くんだろう?)

あの日のフレーズが、自然に口をついて出た。

“This craft tells a story.”
(この作品には、物語があります)

彼女の目がやさしく細まり、ふっと笑った。
「I felt that. Really.」
(たしかに感じました。ほんとうに)

その一言で、自分の言葉が“届いた”ことが分かった。
文法でも発音でもない。誰かの心に触れたことが、嬉しかった。

英語の面談で噛んでしまったあの日から、
ほんの少しだけ、世界との距離が縮まった気がする。

「伝わった」経験は、小さな成功体験になる。
そしてそれが、また次の一言への勇気になる。

Slackでは、「プレゼン、よかったよ」と社員からメッセージが届いた。

——今なら、頼られても断らない。
ちゃんと応えられる気がする。

MOTERUで出会った10分のセリフが、
辻ケンヤにとって“プレゼンできる自分”への扉を開いた。

次に惹きつけるのは、誰だろう。
彼は今日も、Slackで英語のやりとりを楽しんでいる。

『MOTERU』
https://moteru-ai.com/

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